相続した動産の評価方法の確認
相続の対象には、不動産とそれ以外の対象を「動産」として呼びます。その分け方を踏まえて、どのように評価が行われているのかを説明していきましょう。不動産以外の話となりますが、相続税の参考としてお考え下さい。
分け方による評価方法の違い
土地や建物などや庭の樹木などは不動産として扱いますが、それ以外の対象はほとんどを動産として扱います。動産の分け方には、以下の5つで評価を分ける事になっています。
1=一般動産
実際に取引の例を参考にして売買実例価額と精通者意見価格等で評価する事になります。
2=棚卸商品の場合
種類や品質によって同じ物としてまとめ、それぞれ評価をします。
3=牛や馬など
商品として販売の対象になる場合は、「棚卸商品」と同等に判断されます。それ以外で評価する場合は、「一般動産」と同じように評価されています。
4=書画や骨とう品など
販売業者の所持品としては、「棚卸商品」の評価を採用し、商品以外で評価する場合は、売買実例価額と精通者意見価格等で判断されています。
5=船舶の場合
同じく、売買実例価額と精通者意見価格等で評価する事になります。
※売買実例価額とは、市場で取引されている実例の価格の事です。
※精通者意見価格とは、相続税及び贈与税の財産評価をする場合に専門家の評価による評価方法です。
一般動産の評価の具体例
上記以外の動産の中には、別途評価方法が定められた「冷暖房装置、昇降装置、電気設備、給排水設備、消火設備、浴槽設備等の建物附属設備」と、2番から5番までの対象以外を、「一般動産」として扱います。
評価の単位について
1個や1組で評価しますが、コーヒーカップのようにカップとソーサーがセットで利用価値がある物を1組として区別します。
時期による評価の違い
「平成19年以前の評価」では、調達した当時の価額によって評価されました。調達価額が領収書などではっきりと示されない場合は、同等の商品の新品価格から耐用年数による減価償却の控除を利用して、その価格を参考とします。(この評価方法が実務性の面からかけ離れているとの指摘がありました。)
「平成20年以後の一般動産の評価」では、市場の価格がインターネットの普及により、正確に把握する事になったので、基本的には「売買実例価額、精通者意見価格」等を参考に評価する事に移行しました。
具体的な評価手法
納税者は売買実例価額を参考にして評価をするか、専門家による評価の意見によって意見価格でも良い事になっています。この場合、精通者の資格を定めていないので、適切にアドバイスできる者となっています。
不動産や株式のように価格評価が大きく変動する恐れが少ないのですが、親族間の売買では、査定の評価で疑問が持たれるような評価に対しては、厳正な指導がある場合があるので注意したい事です。「一般動産及び船舶の評価明細書」では、「売買実例等を基とした評価額」が優先されています。(平成20年以降)
評価の実例
1=自家用車やオートバイの場合
多くの実例により、中古車業者やインターネットの中古車サイトが参考になっています。
2=金や地金(型どりしたバー状の形態)
銀行などでは、毎日取引価格を表示されていますので明確です。
3=収集家の対象となる特殊な切手や古銭
インターネットでの情報収集による評価となりますが、希少価値の対象には数円の値段表示があっても、予想を超える高額な金額で取引される事もあるので、骨董的に価値にも注意すべきです。
一般動産の相続税評価の注意点
基本として1個や1組で評価を行う事になりますが、「家庭用動産、農耕用動産、旅館用動産」では、1組が5万円以下の対象に関しては数が多すぎるので、一活で1世帯ごとの評価として申請する事が可能です。
この動産にはっきりした相場や買取価格があるわけではないので、わからない場合には同種同規格の新品の小売価額から減価償却の費用を控除する事で、実勢価格に近付ける事が出来るのです。
まとめ
不動産の相続の場合には、取引例や周りの相場で相続の評価を2割3割減額して評価されますが、それ以外の動産においては、対象があまりにも数が多すぎる為に自分でも評価は出来ます。不安な場合には、司法書士や税理士にお願いする事も選択の1つです。相続税の支払いには期限があるので、それまでに処理する事です。