【ご注意を!】相続が発生すると故人の銀行口座は凍結されます。
銀行口座主の逝去が周知されると、そこからの入金・出金は不可能となります。つまり口座が凍結されるのです。こうなれば、たとえ故人の家族であろうと、残された預金を取り扱うことができません。一体なぜなのか、その理由など口座主の逝去後の口座凍結について見てまいりましょう。
口座の凍結とは?
銀行などの金融機関が口座の利用者の逝去を把握すると、該当する口座は直ちに使用不可の状態に置かれます。これが口座の凍結です。こうなれば口座主である故人の家族はもちろん、生前故人から口座の管理を任されていた後見人でさえ、その口座による入金・出金などが原則として行えなくなります。
凍結は、故人の遺産となった預金の引き継ぎ先が決定されるまで続くこととなります。つまり、遺産相続が行われると持ち主が逝去した口座は凍結解除と同時に取引を停止になり、そこに入っている預金が相続人に、分配・継承されるまでそのまま保管されています。
口座が凍結される理由
なぜこのような口座の凍結がなされるのでしょうか?
それは、遺産相続の公正性や相続税額算出の透明性を確保するためと考えて良いでしょう。
遺産は、民法に則るところの法定相続、もしくは故人すなわち被相続人が生前したためた遺言書に従って配分されなければなりません。もし仮に、相続内容が決定していないにも関わらす故人の口座をそのまま扱える状態であるとすると、その通帳を管理している人などが相続内容決定前に預金を引き出してしまう恐れが生じます。
こうなれば、民法の定めや故人の意思を頭越しに遺産を扱えるようになってしまい、適切な相続が成立せずトラブルの元ともなるでしょう。
また、原則的に故人の口座に残された預金は、相続税の課税対象でもあります。
遺産相続の手続きを通して遺産の全体および相続人各々の相続分を算出し、課税対象なのかあるいは非課税扱いになるのかという判別を経た後、適切に納税が行われるべきものです。
故人の通帳が相続前に利用できる状態であれば、課税が確定する前に預金を引き出し納税義務を逃れるといったような、極めて違法的な行為も可能となってしまいます。
これらのような事態を回避するため、遺産分割内容の決定が届け出されるまで、被相続人の銀行口座が凍結されることとされているのです。
仮払い制度
基本的には故人の口座は凍結されるのですが、2019年7月以降、例外的に凍結口座から出金ができる仮払い制度が設けられました。これは、世帯主が故人である場合口座が凍結されると残された家族の当面の生活費が工面できない、もしくは故人の葬儀費用を故人自身の凍結口座から払わざるを得ない、などのケースに併せた制度であると言えるでしょう。
ただし、①仮払いを受けるには相続人全員の署名と捺印が必要であること、②引き出し可能な金額の上限は遺産総額によって異なり最大で150万円であること、③仮払いを申請した相続人の遺産受け取り分からは仮払いした分が差し引かれること、などの条件があります。
まとめ
故人の銀行口座は遺産相続が行われるまで、入金・出金などの利用ができない凍結状態になりますが、相続の対象の為の処置なのです。必要ならば、仮払い制度を利用して生活費に充てる事が可能なので理解しておく事です。