相続と年金受給権
はじめに
世の中には、さまざまな年金が存在しますが、これを受け取ることができる権利を「年金の受給権」といいます。
年金には、公的で必ず加入するものと、民間の保険会社と任意で契約を結ぶものがあります。
では、万が一年金受給者が亡くなった場合の受給権やそれにかかる税金はどのようになるのでしょうか?
この記事では、年金の受給権と、それにかかる税金、特に相続に関してご紹介していきたいと思います。
年金の受給権とその種類について
冒頭でもふれていますが、年金には公的なものや民間のものがあり、それぞれに種類があります。年金を受け取る権利を持っている人が亡くなって、親族が受給権を引きつぐ場合の相続税はどうなるのでしょうか?
まずは年金の種類から見ていきましょう。
日本に住む人が必ず加入する公的な年金
人が亡くなった時に遺族が受けられる年金には「遺族年金」と「確定拠出年金」などがあります。さらに国民年金や厚生年金などの受給権を持ちながらも、年金を受け取る前に受給者が亡くなられた場合には「未支給年金」として、受給できなかった年金を遺族が受け取ることができます。
公的年金の相続税について
公的年金の一つである「遺族年金」は、ご家族が亡くなられた場合に、その親族が受給できる年金です。このタイプの年金は残されたご家族の生計を助ける意味合いがありますので、相続税や所得税は課せられません。
また「確定拠出年金」については、年金を契約している方自身が資産運用を行い、将来に備えるタイプのものなので、これを親族の方が受け取る場合には、相続税がかかり所得税の対象にはなりません。
逆に国民年金や厚生年金の「未支給年金」については、相続税はかかりませんが、所得税の対象となります。
個人年金保険の相続に関して
続いて民間で契約している「個人年金保険」と相続の関係についても見ていきましょう。
まず個人年金保険の契約者が亡くなられて、被保険者が相続財産として受け取る場合、相続税の課税対象となります。
また被保険者が亡くなられて、相続を受ける方が代わって保険金を受け取る場合は、保険の契約者から相続を受ける方へ「贈与される」とみなされ、贈与税が課税される対象となります。
民間の年金に対しての評価について
公的年金や民間の個人年金保険の受給権を引き継ぐ場合は、その評価によって「相続税」や「贈与税」「所得税」の課税対象となるケースがあります。
民間の個人年金保険や企業年金などの評価については、解約時に発生する「解約返戻金相当額」が基準となります。
さらに生命保険金受取りの場合、保険の契約にかかわる保険者や被保険者が相続に関わっている場合、相続税に対して控除の制度が適用されます。