相続と確定申告の関係について
はじめに
相続とは、故人(被相続人)が亡くなったときに、家族や親族など(相続人)が財産に財産を引き継ぐことです。財産には、銀行などの預貯金や土地や建物などの不動産などといった「正の財産」と、借金や未納の税金など支払わなければならない「負の財産」があります。
また、相続や遺贈によって取得した財産が基礎控除額を超える場合には、その超える部分に対して、「相続税」が課税されます。
今回は、相続に関する税金とその手続きに当たる「確定申告」の内容について紹介したいと思います。
相続
被相続人が亡くなった場合、その財産を受け継ぐ相続人が必要になります。この財産相続を次の世代に受け継がせることにより、被相続人の財産を維持し、安全な財産確保が可能になります。
相続人
亡くなった者を被相続人、被相続人の財産を引き継ぐ者を相続人といいます。ちなみに相続人を正当相続人と法定相続人ということがありますが、どちらも同義語です。
遺産相続の必要性が生じても、相続人が決まらない場合は、遺産相続は成り立ちません。また、家族や親族などの正当相続人と異なる人に遺産を相続したい場合は、「遺言書」が必要です。
もし財産に借金などの負債があると、相続人が相続を拒否する場合も少なくありません。
それから複数の相続人が相続する場合、相続分の割合を決めるということも重要です。次の項では遺産の分配についてお伝えします。
分配の割合
遺産の分配の際には、遺産の相続が正当と認められる法定相続人、または正当相続人が受け取ります。その分配比率は民法に、相続分の割合が定められています。相続が生じた場合には、その割合に応じて遺産分配するのです。
相続税
相続税は、相続によって取得した財産及び相続時精算課税の適用を受けて、取得した財産の価額の合計額(債務などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額)を計算します。それからその額が相続税の基礎控除額を超えた分に対して課税されます。
基礎控除とは、確定申告や年末調整において所得税額の計算をする場合に、総所得金額などから差し引くことができる控除の一つです。
相続人がするべき確定申告
遺産相続で確定申告をするケースはほとんどないですが、次の4つのケースでは確定申告をしなければいけません。
相続した遺産を売却した場合
相続した土地や建物、有価証券等を売却したときには所得が発生したとみなされ確定申告が必要です。
収入が生まれる遺産を相続した場合
賃貸アパートや駐車場などの収入を生む遺産を相続したときにも確定申告する必要があります。
遺産を寄付した場合
相続した遺産を寄付するときにも確定申告が必要になります。
この場合厳密には、確定申告は義務ではないものの、確定申告をしておけば節税効果があります。
現金化して分割した場合
相続した遺産を分割して相続人同士で分けた場合には「換価分割」とみなされ、所得として扱われます。
つまり、この場合にも確定申告が必要となります。
準確定申告
被相続人が死亡した場合でも、所得税の納税が必要となる場合には財産の相続人が代理人になって行う「準確定申告」というものがあります。
また、準確定申告は相続開始日から4ヵ月以内に行うこととされています。
まとめ
相続財産は「継承」と扱われるので、所得には含まれません。そういう意味で、相続する財産は収入として確定申告をする必要はありません。
また、相続した財産が基礎控除額以内であったときには、相続税は課税されないので、相続税についての申告も当然必要ありません。しかし先に挙げた通り、確定申告が必要なケースもあります。必要なケース、不要なケースをしっかり把握し、来るべき時に備えていただきたいです。