相続法における配偶者の扱いと法定相続分
【はじめに】
被相続人(亡くなった人)の財産を相続する人を相続人、民法で定められた相続人を法定相続人と言います。
被相続人の遺言に「財産を誰に相続させるのか」という明示がない場合は、民法にのっとって相続人を決めます。
また法定相続人は、被相続人との関係性で優先順位も定められています。中でも配偶者の優先順位は一番高く、配偶者が生きている場合は必ず法定相続人となります。
今回は、相続法上の配偶者の扱いと、法定相続分について見ていきたいと思います。
【相続法における配偶者の扱いと法定相続分】
1.相続法における配偶者の扱い
法定相続人になるための優先順位は、民法886条で被相続人との関係性により定められています。
配偶者と子供は生きている限り必ず相続人となりますが、死亡している場合は第1順位(孫)、第2順位(親、祖父母)、第3順位(兄弟姉妹、甥姪)と続きます。
なお、被相続人と正式に婚姻関係を結んでいない内縁関係のパートナーなどは配偶者としてみなされないため、法定相続人にはなれません。
被相続人に配偶者や子供がいない場合は第1順位(孫)、第2順位(親、祖父母)、第3順位(兄弟姉妹、甥姪)に相続の権利が移ることとなります。
2.配偶者の法定相続分
法定相続人になれる親族が何人かいる場合、それぞれどれくらいの割合で遺産を受け取れるのかは「法定相続分」として法律で決められており、法定相続人の優先順位や、他の法定相続人の生存状況により変化します。
例えば被相続人の配偶者が生きている場合、
法定相続人が配偶者のみ→すべての財産を相続する
配偶者と子供(第1順位)がいる→財産の1/2を相続する
配偶者と父母(第2順位)がいる→財産の2/3を相続する
配偶者と兄弟姉妹(第3順位)がいる:財産の3/4を相続する
となります。
なお、第1順位には、実子の他養子、認知した子供、胎児なども含まれます。
被相続人の子供が全員生きている場合は孫は法定相続人にはなれません。
・特別受益の持ち戻しについて
法改正前の法律では、被相続人が遺言により意思表示をしていない限り、配偶者であっても特別受益の持ち戻しが適用されていました。
しかし、改正後の法律では、婚姻関係を結んで20年以上が経過した夫婦で居住用の不動産の贈与を行った場合は、特別受益の持ち戻しが免除されます。(被相続人の遺言で持ち戻しを免除しない旨が明示されていた場合を除く)
【最後に】
今回は、相続法における配偶者の扱いと法定相続分についてまとめました。
この他にも、相続に関していろいろなことが相続法により決められています。
不動産などの財産を将来子供に継がせたいと考えているなら、相続のことを調べる、配偶者と話し合うなどして早めに準備しておきましょう。