借地・底地の解約とその合意書について
はじめに
借地とはその字の通り「誰かから借りている土地」のことをいいます。
その対義語として貸地という言葉があります。つまり「誰かに貸している土地」のことですね。
同じ土地を指しているのに、その権利を持つ人によって呼び方が変わってくるというのが、不動産の難しいところです。
さらにややこしいことに貸地は「底地(そこち)」ともいう点です。
しかしこういった専門用語をよく知っておかないと、後々トラブルの種になるかもしれません。
特に解約の手続きのときはトラブルになりやすく、相談事例も絶えません。
今回は今さら聞けない借地・底地の解約について見ていきましょう。
底地の解約をしたいとき
もし地主であるあなたが「今の土地を別の人に貸したい!」と思ったとしましょう。
このとき借地人に対して一方的な契約解除は(当然ながら)できません。
なぜなら、借地にはすでに家が建てられていて借地人の生活があるからです。これは法律でも定められていて(借地法)、借地人が守られてしかるべき権利なのです。
借地権には新・旧があります。
細かい規定はここでは割愛しますが、大雑把にいうと
・借地の上に立っている家の種類によって法定契約期間があるのが旧借地権(1992年以前から借地になっている土地が対象)
・建物にかかわらず、法定契約期間30年で借りられるのが新借地権
となっています。
つまりこの期間中は、あなたの土地であっても解約できないことになります。
解約できるケース
ここまでの話からすると途中解約はできないと思われるかもしれませんが、例外はあります。以下に見ていきましょう。
特約・双方の合意がある
「途中解約ができる」
こういった特約条項があるときは「借主との解約」ができます。
ただし、借主にとって不利な特約は無効となっています。
基本的に貸主は土地を使わせているため立場が強くなりがちです。
かつてはそういった立場をかさに着て、一方的な解約を迫るトラブルが多々あったので今ではこれはNGです。
双方の合意があったときも、これまた解約できます。
お互いの考えが一致したのなら誰も口は出せませんよね。
このとき互いに解約合意書を交わしましょう。細かい明け渡し日やそれを過ぎたときの処置も書いておけばベストです。
法的に解約は例外となっていますので、お互いのためにも合意書作成をおすすめします。
建物が消失した
あなたの底地に借地人が建物を建てて生活を営んでいるとき、この建物が消失したとき(火事や老朽化による取り壊しなど)は解約ができます。
理由は借地人の立場から見ればすぐわかります。
「土地を借りているのに建物はない。それでも賃貸料は払うのはちょっと・・」
と考えますよね。
そのため通知から3ヶ月後に解約は成立します。
無断で建物が建っていた場合
もし借地人が無断で居座り続けると、他の人に貸したりすることもできず新しい建物も建てることができなくなってしまいます。
つまり、そのことによって地主であるあなたの土地の運用が阻害されてしまいます。
このリスクを避けるため、民法では地主の権利も規定されています。
借地人が契約期間を無視して建物を建てた場合、「地主からの解約」を申し入れることが可能な点がその一つです。