借地(底地)に建てられた建物の増改築の承諾料とは?

はじめに

借地(地主から見れば底地)に建てられた建物を増改築する場合、一般的には、借地人は地主に対して承諾料(建替承諾料)を支払うことになります。
今回は、その理由や相場について見ていくことにしましょう。

増改築とは

本題に入る前に、まず言葉の意味を押さえておきたいと思います。
「増改築」とは、どのようなことを指すのでしょうか?

増築とは、既存の建物に新たに建て加えをして床面積を増やすことで、既存の建物のそばに新たに付属の建物を建築することも増築に含まれます。
一般的には「建て増し」とも呼ばれます。

次に、改築とは既存の建物の代わりとして新たに建物を建築することを言います。
一般的には建物をすべて取りこわして新たに建築することを指しますが、建物を部分的に取りこわしその部分を建築し直すことも改築に含まれます。

これら2つを合わせて「増改築」と呼びます。

なぜ建替承諾料が必要なのか?

それでは、なぜ借地に建てられた建物を増改築するときには底地権を持つ地主に対して建替承諾料を支払わなければならないのでしょうか?

借地借家法では土地や建物を「借りるほう」に対して比較的強い権利を与えています。
これは、地主が不当な理由で借地人を追い出すといったことが起きないように借地人の権利を保護するためです。
その結果、建物がある限り、原則的に借地人は契約を更新することができますし、借地の利用を継続することができるわけです。

ただ、これは地主側にとっては結構なデメリットです。
建物がある限り、借地人にずっとその土地(底地)に「居座られる」ことになってしまうのですから。
もちろん、その建物が朽廃(朽ちてしまうこと)してしまえば借地権は消滅します。
ところが、建物を増改築されると、朽廃に伴う借地権の消滅は遠のくこととなってしまいますよね。

そのため、借地契約には「増改築禁止特約」という特約が設定されていて、借地人は地主の承諾なしに無断で建物の増改築を行うことはできなくなっているのがふつうです。
そこで、借地人が建物を増改築したいときには、借地権の消滅が遠のくという地主の不利益を補う目的で建替承諾料を支払い、その代わりに増改築を承諾してもらうという流れになっているわけです。

最後に

それでは、建替承諾料はいくらくらい支払われるものなのでしょうか?
最後に、この点についても見ておきましょう。
建替承諾料には相場があり、更地の価格の3%というのが基準で、更新料の支払時期や地代の金額によっては多少上下することもあるようです。
ただし、木造の建物を鉄筋コンクリートや鉄筋の建物に改築する場合の承諾料は、更地の価格の10%が基準(相場)となります。
これは、鉄筋コンクリートや鉄筋にすると建物がより強固で長持ちするようになるため、契約期間も延びることとなり、結果として借地権の消滅がさらに遠のくことになるためです。
なお、木造から鉄筋コンクリートや鉄筋の建物に建て替えるということは、契約期間に加えて借地権の目的(どのような建物を所有するのか)といった「契約条件」を変更するということになりますので、この場合の承諾料は建替承諾料ではなく「借地条件変更承諾料」または「条件変更承諾料」と呼ばれます。

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