共有名義不動産と確定申告
はじめに
複数の人と共有名義で不動産を持ち、その物件を賃貸物件として運営している場合、青色申告が必要になります。
個人で不動産運営や申告をするのであれば、特に複雑な手続きは必要ありませんが、共有名義での申告は、持分に応じた割合で申告する必要があるため、慣れないと決算書や収支内訳書をどう書いたら良いのかわからないという方も多いのではないでしょうか?
今回は「共有名義不動産と確定申告」というテーマでお話していこうと思います。
共有名義の不動産も青色申告が必要
共有名義で不動産を賃貸運営している場合、それぞれ個人で青色申告をする必要があります。
不動産全体の所得額を計算した後、各個人の持分によって折半します。
不動産全体の所得を算出は、期末時点の決算書を作成しておくと良いでしょう。
賃貸物件が5棟10室の事業的規模の条件を満たしているのであれば、65万円の特別控除が受けられます。この条件は共有名義の不動産も対象になります。
例えば賃貸マンションを共有名義で10室所有している場合、1人5室で計算するのではなく、10室を2人で共有しているということになりますので、特別控除の対象になるのです。
青色申告する際の注意点
では、実際に共有名義の不動産で賃貸物件などを運営している場合の青色申告で注意しておきたいことを挙げていきましょう。
不動産全体の決算書は必要ない
上記に不動産全体の所得を知るため決算書について記載しましたが、この決算書は不動産所得を知るために作成するものですので、税務署に提出する必要はありません。申告の際は、それぞれの持分の不動産所得額と減価償却費を記載して提出しましょう。
所得と減価償却費は持分の割合ごとに記載する
青色申告の決算書には持分の割合ごとに金額を記載します。
例えば2人で共有名義の不動産で賃貸運営をしていて、1人は6割、もう1人は4割の持分で青色申告をするとしましょう。
年間の家賃収入が500万円あったとすると、6割の持分の人は300万円、4割の人は200万円と決算書に記載します。
建物の減価償却費についても同様に持分ごとに記載します。
例えば減価償却費が2000万円あった場合は、持分6割の人は1200万円、4割の人は800万円になります。
遺産相続に賃貸物件が含まれている場合は注意が必要
もし、賃貸物件が遺産分割協議中の相続財産に含まれている場合は、全ての相続人の共有財産となります。
名義がまだ亡くなった方の名前でも、相続財産に収益不動産が含まれている場合は、共有名義の不動産の申告と同じ内容で、それぞれの相続人が確定申告を行う必要がでてきます。
このとき、共有名義の人物以外は持分割合が決められていないため、法定相続分に従った共有割合で申告手続きを行うことになります。