投資用不動産を相続した場合の減価償却の計算について
【はじめに】
亡くなった親族から不動産を相続したら、確定申告をしなければなりません。
確定申告では事業で得た収入と経費を計算して所得を出し、所得の額に応じて課税がされます。しかし、相続で投資用不動産を取得した場合などは注意が必要な点もあります。
今回は、不動産の相続と減価償却についてまとめます。
【相続した不動産の減価償却費】
1.減価償却について
事業で得た利益を国に申告する確定申告では、事業にかかった経費を計上することができるのですが、投資目的で取得した不動産(建物のみ)に関しては取得時に支払った額も一定期間経費として計上することができます。
この経費のことを専門用語で「減価償却費」と言います。減価償却費の計算方法には2種類あります。以下に見ていきましょう。
(1)定額法
取得価額 × 耐用年数に応じて定められた定額法の償却率 = 減価償却費
(2)定率法
前期末の帳簿価額(取得した年は取得価額)× 耐用年数に応じて定められた定率法の償却率= 減価償却費
この計算で必要な償却率は、建物の材質、建築方法ごとに定められた法定耐用年数が関係してきます。
法定耐用年数と償却率は、木造モルタル造(住宅用)が耐用年数20年・償却率0.050%、鉄骨鉄筋コンクリート(住宅用)が47年・0.022%、れんが・石造り・ブロック造(住宅用)が38年・0.027%となっています。
また、定額法と定率法のうち採用できる計算方法は、物件の取得年により異なります。
減価償却費についての詳細は国税庁のホームページでしっかり確認しましょう。
2.相続した不動産の減価償却費
減価償却費の基本的な算出方法は上記の通りですが、親族が所有していた投資用不動産を相続した場合など賃貸運営を途中から引き継ぐ場合はどうなるのでしょうか。
減価償却の計算方法には定額法と定率法の2種類が存在しますが、減価償却に関する法律がたびたび改正されている関係で、相続した年により採用できる計算方法が異なってきます。
平成10年3月31日以前に取得した建物は定率法が採用できますが、現在は定額法しか採用できません。
さらに、定額法には旧定額法と新定額法があり、平成19年3月31日以前に取得した建物は旧定率法、それ以降に取得したものは新定額法で計算することとなります。
被相続人が平成19年4月以降に建物を購入していた場合は、その人と同じ計算方法を引き継げます。しかし、被相続人が平成19年3月31日以前、または平成10年3月31日以前に取得した建物を相続する場合は、被相続人が採用していた計算方法は使えないこととなるため注意が必要です。