債務超過の対策とは
不動産の運営に限らず、会社の経営であっても資産より負債が大きくなった状態を「債務超過」といいます。この状態は、すべての資産を売却した後も返済できる状態にないことで、倒産するという危険水域に達しているとも言えます。もしそうなった場合、どのようにして対処していけばよいのでしょうか。
判断の基準 ~ある一つの誤解~
赤字は一定の期間において、マイナス利益が続いている(つまり、費用が収益よりも大きい)状態であることをいい、長期的に続いた場合は債務超過になるリスクが高いということです。ちなみに正常な場合は、純資産がプラスであることです。
この時点で倒産するのではないかという危機感を持つことになるでしょう。しかし、倒産であると決まったわけではありません。赤字になったらすぐ倒産というのは一つの「誤解」で、まだ決まったことではないのです。
財務の健康診断
現在の財務状況を把握することで、貸借対照表(いわゆるバランスシート)を理解することができ、決算書として活用できます。また、この表に記された資金の現状はどうなっているのかを把握することで、いわば会社財務の健康状態を知ることができるわけです。
資産と純資産、負債の三項目があり、これらの合計金額が一致することにより、3つのバランスが均等に保てば、会社全体は健康であることを読み取れるわけです。
債務超過であるか否かを知るという意味でも、このバランスシートは重要な役割を果たし、会社の状況が危ないと感じた場合は、この表を基に今後の対策を立てることができますので、最悪の状況を回避するための手がかりをつかむことができるでしょう。
なので、財務体質を常にチェックしておけば、もしもの時に対策が立てやすくなるということです。
債務超過後の懸念事項など
もし債務超過になった場合、これらのリスクを伴う危険性が高くなるので、特に気を付けておきたい点をまとめてみました。
まずは超過後の注意点について説明します。一つは銀行からのローン融資を受けることができなくなった場合です。企業そのものの返済能力の有無を判断し、客観的な結果に基づき最終的にはそれを拒否されると、資金集めがしづらくなります。負債返済が困難になった場合、会社更生法が適用されます。
大手の場合、気を付けておきたい点は債務超過がある程度続いた場合、上場規則に基づき、廃止されることがあります。そうなると、株価については大下落となり株主に迷惑をかけるというリスクが伴います。
いずれにしても、資金調達が困難になり会社の資産がなくなることから、倒産してしまうという最悪の展開となるでしょう。
解消法
債務超過は解消できるのでしょうか?実は解決できる方法は存在します。まずは会社全体の利益を生み出すことです。一朝一夕で回復できませんが、中長期的に見るのであれば解決の糸口となるでしょう。
次に、会社そのものを増資しておくことです。株主たちにお願いして、会社に出資をしてくれるのであれば、財務の要である資産の増強を図ることができるでしょう。それ以外にも、「債務免除」という手段がありますが、こちらは親会社そのものに資金面で余裕があるときに使う手段です。
最後に、債務と株式を交換するという手段で「DES」と呼ばれる方法です。会社の株そのものを債権者へ売却することにより、負債額を削減するというやり方です。
まとめ
以上、債務超過についてまとめてみましたが、ここまで追い詰められたらもはや解決の糸口は…という展開になるかと思いきや、実際に解消できる方法は存在しています。初期段階での被害を食い止めるためには、財務そのものの診断を行い、赤字の初期段階になった時点で対策を講じておくとよいでしょう。