相続した不動産を譲渡した場合にかかる所得税について
【はじめに】
被相続人から建物などの財産を相続したけれども実際はそこに住まずに、その建物の売却を考えている方も多いと思います。
建物を売却し、現金に換えた場合、兄弟などがいる場合には遺産として分割しやすくなるメリットもある一方、現金にはない様々な税制上の煩雑さもあります。
例えば、相続する不動産の場合であっても譲渡(売却)による所得(売却益)があるケースでは譲渡税が課税されます。
今回は「譲渡所得税」の内容を紹介したいと思います。
【不動産売却と譲渡所得】
相続の際、手元にある不動産を売却しようとするとき、たとえ相続税を納付していようがいなかろうが売却益が出たら所得税・住民税が掛かります。
このとき、売却価格から購入にかかった費用などの「取得費用」と売却にかかった仲介手数料などの「譲渡費用」を差し引いて算出された「売却益」に所得税と住民税の税率をかけて「譲渡所得税」として税金が課税されることになります。
また、かかる税率はその不動産の保有期間によっても変わってきます。
つまり不動産を持っていた「期間が5年以上か?そうでないか?」で税率が大きく違うのです。
所得税の場合、税率の差は2倍にもなり、大きな額で取引される不動産売買では決して無視できないものとなっています。
この制度が制定された理由はいわゆる「土地ころがし」の抑制です。
土地を短い間で転売を繰り返す手法がかつて横行したのを機に、税金面で制限をかけていると言われています。
【税金を安くできる特例について】
先述したように所有期間が長い方が納める税金は安くなりますが、相続税の申告期限から3年以内に売却したときの譲渡所得額はかかった相続税分差し引いて計算される特例があります。
以下のような計算式になります。
譲渡価格(売却価格)-(取得費+譲渡費用+相続税額の一部)=課税譲渡所得額(課税される分の売却益)
しかし相続税額がすぐに確定しないときもあります。
そのときは一度、特例を使わずに確定申告を行い、相続税が確定した後に「確定申告の修正手続き」を行いましょう。そうすれば特例が適用され、後々税金の還付が受けられます。
【まとめ】
いかがでしたか?
今回詳しい紹介は割愛しましたが、不動産売却時にかかる税金の特例には「譲渡所得が3000万円以下の場合に譲渡所得課税はされない」とするものもあります。
しかし、この特例は2019年末までの期限付きです。また、相続から3年以内の売却の際に受けられる相続税の一部を差し引く特例との併用はできなくなっています。
これらの特例を受けるには様々な条件をクリアする必要があるため専門的な知識のある税理士などに相談しておくと良いでしょう。