不動産投資に欠かせない不動産の鑑定評価の1つ収益還元法

カテゴリ:不動産有効活用

不動産価格を評価する手法の1つに「収益還元法」があります。収益還元法は、その不動産での利益から適正投資価格を算出する方法です。

賃貸用不動産や賃貸以外の事業での不動産価格を求める際にも有効なので、原価法や取引事例比較法よりも合理性が高い手法と言えるでしょう。

ただし過去の運用履歴と数字の信頼性が前提なので、対象となる不動産販売会社から得た資料の妥当性を十分精査する必要があります。

収益還元法は2種類

不動産価格を求める収益還元法には、「直接還元法」と「DCF法」の2種類があります。より細かい不動産価格を算出したい場合にはDCF法が適していますが、複雑な計算が必要となるため一般の投資家にはなじまないと言えます。

そのため直接還元法を理解しておくことが、価格の妥当性を知るために良いと言えるでしょう。

直接還元法

通常は1年間など一定期間の純収益を還元(還元利回り)で割り不動産価格を求めます。長期で不動産を保有する場合に適する方法で、還元利回りの選択が重要です。

対象不動産の収益価格=一期間の純収益÷還元利回り

●純収益とは?
「一定期間の総収益」から賃貸経営に必要な「一定期間の総費用」を差し引いて求めます。

●総収益とは?
投資した不動産を運用することで得ることができる収入総額です。なお、総収益を正確に求めるために次のことに注意しましょう。

・賃料が適正か
賃貸中物件の賃料に対するデータ等が入手できなければ査定をする必要があります。周辺の賃料などを参考に条件比較を行い適正な賃料の査定が必要です。

・空室率の想定
賃料収入は空室率を想定した上で計算する必要があります。賃借人の入れ替えなどがあるため、収入のない状態も想定が必要です。市場や物件の特性などで空室率は変動することもありますが、一般的に5~10%の空室率を見込んでおきましょう。

・総費用
総費用は物件を運用するためにかかる経費で、主な経費として維持管理費、修繕費、公租公課(固定資産税等)、損害保険料などがあります。管理や賃料徴収の代行を委託している場合にはその費用も含まれます。総費用がわからない場合は、一般的には年間賃料収入の10~20%を目安に計算しましょう。

DCF法

対象となる物件を保有している期間中に得ることができる純利益と期間満了後に売却した時の予測価格を現在価格に割り戻して合計して算出します。直接還元法よりも予測の精度が高いですが、特殊で内容も複雑です。

不動産の証券化など鑑定評価により期ごとの説明をする場合には、DCF法に直接還元法を併せて検証することが適切とされています。

純収益を求める際の注意点

現時点の収益や費用が何らかの理由で突出している場合、それを前提に純収益を利回りで割り戻しても適正な収益価格は求められません。

純収益を求める際には、収益と費用の額が安定した標準的なものであるかを確認しましょう。

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