所得税は2種類?相続時の所得税申告義務の理由とは?

相続すれば、相続人(財産を受け取る人)は被相続人(死去された人)の所得税を申告する必要があります。また、財産によっては相続税でなく所得税がかかることも。相続をした場合の所得税の考え方についてお伝えします。

 

相続人が被相続人の所得税の申告をしなければいけない理由は?
相続人になれば、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことになります。例えば、会社経営をしていた父親が亡くなり、妻と子供5人が相続人になったとします。
父親の財産はすべて相続されます。この時、父親は年度の途中で死去されたので、所得税の申告がまだなされていない状況となっています。父親にとって、生きていれば所得税の申告納付は義務となりますので、納付義務は負の財産となります。
そのため、相続人である妻や子供達で父親の代わりに、確定申告義務を引き継いで申告納付しなければいけないというわけです。

 

相続の時の所得税の申告期限は3月15日ではない?
生きている人の所得税の確定申告期間は、毎年2月16日から3月15日です。しかし、死去された方の確定申告期限は、死亡した日から4か月以内に申告する必要があります。
もし、この期間を過ぎてしまうと、延滞税、無申告加算税などが本来の申告額にプラスされて課税されてしまうので注意が必要です。被相続人の確定申告を準確定申告と言います。
会社経営の場合、事業年度の最初から死去される日までを準確定申告で行います。死去された日から事業年度末日までは、相続人である新しい経営者の名で所得税の確定申告をすることになります。

 

生命保険金を受け取る場合の注意点とは?
被相続人である父親が被保険者となり、生前に生命保険に加入していたとしましょう。生命保険はいくつかの要素があります。
・被保険者:この人が死去すれば生命保険金がおりる
・生命保険料支払い者:毎月の保険料を負担する人
・生命保険金受取人:実際に生命保険金を受け取ることが出来る人
・保険料:支払ったお金
・保険金:受け取るお金
生命保険金受取人が受け取る生命保険金は、毎月支払われる生命保険料の還付と考えてみるといいかも知れません。保険金受取人を子供だと想定しましょう。
もし、保険料を支払人が死去された父親なら、保険金受取人である子は、父のお財布から積み立てられた生命保険料を生命保険金として受け取ることになります。その結果、生命保険金には相続税が課税されることになります。
しかし、このようなケースではどうでしょうか?被保険者は父親、しかし保険料を毎月支払っていたのは母親だったとします。生命保険金の受取人の子供は相続により、父の死去による保険金を受け取ることはできます。
しかし、その財源は母の財布からの積立金によって受け取るという構図となります。そうなると、子は母から贈与を受けたことになるので、相続税は課税されないというわけです。その代わり、子供には母親からお金をもらったということになるので、贈与税が保険金に課税されることになり、子供に支払義務が生じます。
また、被保険者は父親、毎月の保険料の支払いは母親、保険金の受取人も母親だったとします。夫の相続で妻は保険金を受け取ることができますが、財源は毎月の自分の財布からの支出となります。この場合に妻が受け取った生命保険金には、所得税が課税され、妻に納税義務が生じます。

 

相続時の所得税~被相続人の分&生命保険金に注意
相続で所得税を申告しなくてもいいケースもあります。死去された被相続人が400万円以下の年金しかもらっていない場合で、且つ年金以外の所得が20万円以下の場合です。
他には、会社勤めをされている場合で会社が年末調整をしてくれている場合や、年間所得が38万円以下の場合も不要です。
また、生命保険金を受け取る場合、保険料を支払っていたのが誰なのかを確認することで、相続税、贈与税、所得税と変化するので要注意です。

本コラムをご覧になってのお問い合わせ、ご相談はこちらから

お電話でのお問い合わせ
TEL:045-309-6115(受付時間:10:00 – 18:00 水日祝休み