借地の契約期間が満了したら建物は取り壊さないといけない?
両親が長年住んでいた一軒家。「両親が亡くなって、両親が住んでいた家に誰も住む予定がないので、契約期間満了時に更新契約を終了したい」と考えるケースも多いです。
しかし、家を解体するのもタダではありません。家の解体価格はおおよそ1坪あたり3.5万円、例えば35坪では約122万円もの費用が掛かってしまいます。
また、「家をリフォームしてそれほど時間が経っていないからまだ価値がありそうなのに、解体するにはもったいない」というケースもあります。
そんな場合に建物を壊して更地にしてから地主へ返さなければいけないのでしょうか?
価値が残っている家を解体しなければならないのでしょうか?
○原則、借地人の負担で更地にする義務がある
借地契約を終了して建物が残っている場合、借地人は原則として借地人の負担で土地を更地に戻して、地主に返還しなければならない義務があります。(原状回復義務といいます。)
しかし、借地の契約期間が満了して契約終了となった場合では、地主に建物を買い取るように請求することも可能です。
これは「建物買取請求権」というもので、(旧借地法4条2項又は借地借家法13条)借地権の期間が満了し、それ以降に借地契約を更新しない場合に借地人が地主に対して「建物には価値があります。買い取って下さい」と請求できる権利です。
契約を更新しない理由については、「借地人が更新を希望しなかった場合」「借地人は更新を希望したが、地主に契約を更新しない正当な理由があり、更新しなかった場合」などがあります。
注意点として、あくまで建物買取請求権を主張できるのは借地の契約期間が満了した場合です。地主と相談して契約期間が満了する前に途中解約した場合においても「家を買い取ってくれ」と建物買取請求権を行使することは難しいでしょう。
ただし、地主へ建物買取請求権を主張できなくても、家に価値があるのであれば、地主へ買い取ってもらえるように交渉をする余地はあるでしょう。
また、賃料の不払いで契約を途中で解除された場合にも同様に建物買取請求権の行使はできないようです。
○借地の契約期間が満了する前では、建物を取り壊さないといけないの?
「建物買取請求権」を主張できるのはあくまで「契約期間が満了」した場合。途中で契約を解約したい場合には建物を取り壊さなければいけないのでしょうか?
まずは建物を買い取ってもらえないか地主と相談することが重要ですが、借地権を第三者に売却するという選択肢もあります。これは地主との合意が必要ですが、地主が合意しない場合では裁判を申立てることも可能です。