共有名義の不動産を相続放棄する際に注意するポイント
共有名義の不動産は、複数人で一つの不動産を所有する状態のことです。不動産を共有名義で持つことは、賃貸するにも売却するにも不便なことが多いため避けた方がいいといわれています。そのような共有名義の不動産を相続放棄する際に注意したいポイントをまとめてみました。
トラブルが多い共有不動産
共有不動産の相続というのは、複数人で一つの不動産を相続するものです。細かく分割できるお金のようなものは、複数人で按分することができますが、不動産はそのようにはいかないことから、複数人で一つの不動産を所有することになります。
しかし、相続の方法を、共有名義の不動産にすることを選択したことにより、後々、様々なトラブルが生じてきます。
トラブル事例
相続で共有名義となった不動産を所有することで、生じるトラブル事例をみていきましょう。こちらでは、亡くなった親の住んでいた実家を子供たちが相続し、兄弟の共有名義で登記した結果、後々起こったトラブルの事例です。
〇共有名義で相続した空き家の売値をめぐって揉め事になった
〇共有名義不動産に住んでいる共有者の兄が家賃や固定資産税を払ってくれない
〇共有名義不動産に住んでいる共有者ではない叔父が家賃を払ってくれない
〇姉が持ち分比率以上の権利を要求してきた
〇共有名義不動産を弟たちが勝手に売りに出した
〇共有者の兄が実家の売却に突然反対した
相続放棄をする際に注意したいポイント
こちらでは、相続放棄をする際に注意したいポイントを説明します。
相続放棄の期限は3ヶ月以内
遺産相続をするということは、現金や不動産のプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産を引き継ぐことが必要となります。つまり、借金などを踏まえて亡くなられた方の財産を相続すべきか、相続放棄すべきかを判断する必要があるのですが、相続放棄をできる期限は3ヶ月以内となります。
ただし、相続放棄するかどうかの見極めが3ヶ月以内にできないような場合は、家庭裁判所に相続法における熟慮期間の伸長を申し立てると、追加で3ヶ月の猶予をもらうことができます。
遺産を勝手に使わない
遺産を勝手に使ってしまうと、相続放棄をする考えであっても「単純承認」とみられて相続放棄ができなくなるだけでなく、「限定承認」を選ぶこともできません。
遺産を勝手に使う行為というのは、亡くなった人の財産を勝手に売ったり、自分の借金を亡くなった人の財産から返済したり、車や電話の名義を書き換えたりすることです。そのような行為は、亡くなった人の財産の「処分」とみられ、3ヶ月以内であっても限定承認・相続放棄ができなくなります。
2次・3次相続の際に注意する
第一順位の相続人となる子供が相続放棄をおこなった場合、相続人の順位自体が変わってしまいます。
被相続人が死亡した場合に、すべての子供たちが相続放棄をすると、第2順位となる被相続人の親が相続人となります。さらに、相続放棄をその親もすれば、3次相続という相続人に、亡くなった人の兄弟がなります。また、被相続人よりも先に亡くなった兄弟姉妹がいる場合は、代襲相続人へと相続権が移っていきます。
まとめ
不動産を共有不動産にすると相続後のトラブルも多いことから、相続放棄をすることもあるでしょう。共有不動産を相続放棄する際に注意してほしいことは、家庭裁判所に3ヶ月以内に申し立てをすることと、被相続人の財産を勝手に使わないこと、2次・3次相続の3点です。