相続による空き家の所有 その注意点と対応策
相続の発生により住宅を引き継ぐような場合、老朽化等により居住困難な家屋であれば、空き家を相続するという形になるでしょう。このようなケースにおいて相続人に負担が生じることが予想されるのですが、これにはどういったものが挙げられるでしょうか。対応策と共に見ていきたいと思います。
空き家の所有にかかる負担とは
誰も住む予定がなく使い道のない空き家を所有した場合、様々なコストがかかることになります。
まず考えられるのは、その空き家にかかる固定資産税です。通常、人が居住する家屋についての固定資産税は、軽減措置により課税額が低く設定されています。しかし誰も使用しない空き家が対象となるとその軽減措置が除外されてしまうのです。敷地面積が200平方メートル以下のケースで見てみると、空き家では一般住宅の6倍もの税額が請求されることとなります。
また、家屋の劣化に伴い諸々の費用が生じてきます。時間の経過につれ建物自体が古くなるとあちらこちらが破損してきます。そのまま放置していては近隣に何らかの損害を与えてしまう恐れがあるため、空き家の所有者は建物のメンテナンス等、維持管理に責任を持たなければなりません。それには費用が伴うこととなるでしょう。
使うあてがないということで取り壊してしまう手もありますが、これにもそれ相応の出費がかかります。維持管理に一切手を付けず、建物が劣化するに任せて放置するケースも見られますがこれは避けるべきです。やがて行政代執行により取り壊されることとなりますが、これにかかった費用は空き家所有者に強制力を持って請求されることとなります。
このように、相続した家屋を空き家という形で持ち続ける以上、相続人即ち空き家所有者に負担を回避する道はありません。
空き家所有に伴う負担の対応策とは
負担にしかならない空き家所有のリスクを回避するにはどういった対策を取るべきなのか確認していきましょう。まず大切なのは、相続が発生するより前に、やがて相続対象になると思しき住宅について資産価値があるかどうか、予め確かめておくことです。
資産価値がないと判断したなら、相続発生時に相続放棄を行えば、空き家所有の負担を被ることはありません。資産価値があると判断した場合には、次に相続住宅をどのように運用するべきかを考えます。運用手段としては、売却する、賃貸物件として使う、自分自身が住む、の3通りが挙げられます。
相続物件を売却するケースでは、売却代金中3000万円以下は控除の対象となりその分相続税が減額されることとなります。
賃貸物件として使うケースでは、相続人は相続した住宅で不動産経営を行うという形を取るものとされるでしょう。空き家の場合より低額となるものの固定資産税の支払い及び建物の維持管理費等と言ったコストはかかりますが、家賃収入により支出をカバーできます。
相続した住宅に自分自身が住むという手段も、相続人の自宅が賃貸であった場合等には、居住に関する出費を抑えられる点において有効と言えるでしょう。
まとめ
以上のことをまとめると、以下の通りとなります。
〇相続した住居を空き家として所有すると、利益がないにも関わらず、一般住宅以上の固定資産税、建物の維持管理費等、相続人に負担が生じる。
〇相続による空き家所有の負担を回避するには、まず相続物件の資産価値を見極めておくことが重要。資産価値がないと判断すれば相続放棄、資産価値があると判断すれば売却・賃貸経営・自分自身の自宅とする等の方法を取る。
上で述べたような相続物件の資産価値評価等、不動産相続においてはその分野に明るい専門家によるアドバイスが不可欠です。まずは、信頼のおける専門家に相談してみることをお勧めします。