相続、預金通帳解約の必要性
相続の際には、預金通帳の取り扱いには気を付けたいものです。例えば、相続する過程までに家族が通帳を管理する場合もあるのが普通です。高齢の場合や介護が必要な時には、家族が代わりに支払いを行うからです。相続する際の預金通帳の解約の必要性について紹介しましょう。
亡くなった時の預金の所有者は
家族の中で親や祖父母が無くなった場合には、相続の対象となる預金通帳は、被相続人(亡くなった方)について銀行がその事実を確認した時点で、銀行口座が凍結され家族でも引き出す事が不可能になってきます。何故なら、その預金は相続の対象となる全員のものとなるからです。
家族の誰かが、勝手に引き出して使用する事を禁じる為に、口座を止める事で利用出来なくするのです。今後の解約や名義変更などは、相続人達の手続きが必要になります。つまり、亡くなった時の預金の所有者は、相続人全員が対象となるのです。
遺産分割確定後に手続きが可能
預金の解約や名義変更をする場合には、相続の対象となる全員で遺産分割の協議を行って、公正証書にした方が安心です。当事者達でも、遺産分割協議書を作成する事は可能ですが、後々のトラブルの元にならないように、弁護士や司法書士などの意見が必要になる場合もあります。また、協議書を確実なものにするには、公正証書にする事をお勧めします。
自分達で協議書を作成する場合の注意点
人数分の協議書を作成し、それぞれに実印や割印と契印などを、押印する必要があります。署名は自筆で行わなければなりません。また、全員の了解を得る事が最も重要です。
口座の解約手続きの書類
遺言書がある場合には、優先事項となります。
〇遺言書がある場合の手続き
1=公正証書遺言など効力があるもの
2=被相続人の死亡記載のある戸籍
3=遺言で相続する方の戸籍
4=相続する方の取得から3カ月以内の印鑑登録証明書
5=解約する預金口座の通帳とキャッシュカードの用意
※金融機関によって提出する書類の指定がある場合には、それに従います。
遺産分割協議書を用意したら(遺言書が無い場合)
1=遺産分割協議書
2=被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)
3=相続人全員の戸籍謄本
4=相続人全員の取得から3カ月以内の印鑑登録証明書
5=解約する預金口座の通帳とキャッシュカードの用意
遺産分割協議書が無い(遺言書が無い場合)
1=被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)
2=続人全員の戸籍謄本
3=相続人全員の取得から3カ月以内の印鑑登録証明書
4=解約する預金口座の通帳とキャッシュカードの用意
銀行での手続きについて
以上の必要書類を用意して、銀行の窓口にて手続きが必要です。銀行の窓口業務の時間を確認して銀行の込み具合によっては、店内入り口シャッターを閉めてからの手続きになる場合があります。できるだけ早めに受付して手続きに行く事をお勧めします。
銀行の手続きは、代表の1人でも大丈夫ですが、貸金庫があった場合には、新たに財産が追加される可能性があるので、全員が参加する事で財産の確認をする為のチェックを行う事が出来ます。代表者が勝手に手続きするのはトラブルの元です。一番問題となるのは、その中に遺言書が発見された場合です。相続人全員が立ち会う事で、公平な手続きが可能なのです。
※残高証明書や取引明細書は、相続税の申告の為にも必要なので、一緒に取得するようにしましょう。
例外として口座を利用できる場合
なくなった方と生活費を共にしていた場合には、残された家族の生活を守る為に、生活費に必要となる一定額であれば口座を利用する事が可能です。この場合には、相続対象者の全員の了解を必要とします。
まとめ
銀行によって多少手続きに違いはあるものの、だいたい同じような手続きを必要とします。万一、貸金庫から遺言書が出た場合には、公正に手続きする為にも、司法書士など専門家に相談すると良いでしょう。