相続に関する取得費加算の制度
相続した場合、相続税が課せられ相続税を納めなくてはなりません。しかし、相続税を支払うために相続した土地や建物を売却することも多々あるでしょう。土地や建物を売却した際に利益が出るとこれを「譲渡益」といい、この利益にかかる税を「譲渡所得税」といいます。相続税を支払ううえに、譲渡に関しても税金がかかるとなると負担が大きくなります。この負担を軽減するための制度が「取得費加算の特例」となります。
制度の内容
この制度は、もともとバブル崩壊後に始まった制度で相続したものが土地の場合は売却した土地だけでなく、相続した土地すべてに関する相続税も控除されていました。しかし、平成26年の改正により譲渡する財産だけになりました。
取得費について
譲渡所得の算式を使って説明します。
「譲渡所得」=①譲渡収入金額 - (②取得費 + ③譲渡費用)
①不動産などの譲渡代金や固定資産税と都市計画税の清算金
②実学法および概算法のどちらか金額が多いほう
③売却する際に掛かった費用(仲介手数料など)
②が取得費といわれるものです。この費用に相続税の一部を加算することができるというのが、この取得費の加算制度となります。この取得費が多ければ多いほど、「譲渡所得」が少なくなるため負担も減るわけです。
条件
【特例をうけるための条件としては】
・相続などによる財産の取得であること
・相続税の課税対象であること
・相続して3年10カ月以内であること
【取得費として含まれるもの】
・不動産登記費用
・取得税
・株券の名義変更費用
・贈与等の手続きでかかる費用
加算する相続税の算式
取得費に加算できる相続税額=相続税額 × 土地の合計額 ÷ (課税価格 + 債務控除額)
・相続した土地 ①土地4000万円 ②土地6000万円 ③土地1億円(合計2億円)
・納税額 5000万円
・土地の譲渡 5000万円
・①番の土地を10年前に被相続人が3000万円で購入したとする
5000万円 × (5000万円 ÷ 2億円) =1250万円
これによって
5000万円 - (3000万円 + 1250万円) = 750万円
となり 納税額は 750万円となります。
確定申告の添付書類
〇相続税申告の写し
〇相続財産の取得費に加算される相続税の算式明細書
〇譲渡所得の内訳・算式明細書
売却先の制限
特に制限はありません。ちなみに同族でも可能となるので売却の相手がみつからないときは、とりあえず同族に売却するということも検討してみましょう。
まとめ
少しでも節税できるように特例を上手に利用しましょう。また、不動産を売却する際は専門の業者や不動産業者に相談されることをお勧め致します。