相続した不動産の減価償却はどうなる?
はじめに
親が亡くなった場合、遺産相続が発生します。
この場合、気になってくるのが遺産にかかってくる税。
遺産の内容が現金であれば、単純に相続額に税率を掛けた分が相続税として課税されます。
控除などを含めた相続税の計算方法などは以前の記事ですでに紹介してきました。
では相続遺産が不動産の場合はどうでしょう?
今回はそんな相続した不動産について見ていきましょう。
どうなる?引き継いだ不動産のアレコレ
不動産にかかる税金を求めるのに大事になってくる要素が3つあります。
それぞれが相続後どうなるのか見ていきましょう。
取得費
取得費とは、簡単に言ってしまえば不動産を買うときにかかった費用です。
気を付けたいのは、「不動産を買うときの費用(取得費)」と「不動産価格」はイコールではないということ。不動産を得るためにはいろいろな費用(税金各種や仲介料など)がかかってきます。
そのため不動産価格よりも高くなります。
さて本題にもどって、相続した不動産の取得費はどうなるのか?
答えは簡単でそのまま引継ぎます。
「先祖代々の土地で、親が建物部分を建てたので取得したときの詳しい費用がわからない」といった場合、概算で求めます。
そのため見積りで売却したときの収入を見積り、その5%を取得費とします。
概算で求める以外にも、ローンの記録などからも取得費は求められます。
取得年月日
これは引継ぎません。
相続した日を取得年月日とします。
被相続人が不動産を得た日ではないことに注意しましょう。
法定耐用年数と減価償却
相続不動産の法定耐用年数はそのまま引継ぎます。
相続されるものは必然的に「中古物件」となっていますが、法定耐用年数は中古物件用のものとはならないことに注意しましょう。
次に償却方法。
故人が使っていた償却方法は引継ぎません。
ここでもポイントがあります。
通常2種類の償却方法(定額法と旧定率法)がありますが、それは「定率法は今は使われていない」ということです。(だから「旧」定率法となっています)
被相続人が定率法を選んでいることもありえますが、その場合でも定額法に変更する義務があります。
最後に未償却分について。
これも引継ぎます。
今まで被相続人が計上してきた減価償却分を引いた分が、未償却分ということになります。
まとめ
今回は不動産を相続したときの「取得費・取得年月・耐用年数と減価償却が引き継がれるか?そうでないか?」を見てきました。
親が不動産投資を行っていて、その運営を相続した場合、それぞれの物件情報がどう扱われるかを知ることは課税計算として大変重要になってきます。
とはいえ、慣れない不動産投資に混乱することもあるでしょう。
そういったときは専門の業者にアドバイスを仰ぐといいでしょう。
税制は現状に合わせて改訂を繰り返すので、そういった意味でも間違いのないようにしたいものです。