賃貸状況の統計でも良く用いられる空室率とは?

カテゴリ:不動産有効活用

はじめに

不動産経営を行っていると、いつも気になるのは空室の数。
その割合を表す「空室率」という数字を知っていますか?
「空室率」とは、全体の部屋数に対して居住者のいない部屋の割合のことを指し、総務省によって、その統計が定期的に発表されています。
また、この統計では家屋の種類や地域別に空室率が示されていますが、調査方法や条件などによって誤差が出ることもあります。
今回は空室率について正しく知り、なぜ誤差等が発生してしまうのかといったことまで考えていければと思います。

空室率には大きく2種類ある!

単純な空室率の計算は以下の式で行うことができます。

空室率(A)= 空室数 ÷ 全室数 × 100

しかし、これだけ見ると1ヵ月間などの一時的な空室状況は把握できても、年間の稼働状況や空室状態を見極めるのは困難です。

そこで、編み出された空室率に、「年間稼働状況に対する空室率」というものがあります。
その求め方は以下になります。

年間稼働状況に対する空室率(B)=(空室数 × 空室月数)÷(全室 × 12)× 100

例えば、全室10部屋の物件があったとします。
3月末に3部屋空室が生まれ、そのうち1部屋は5月まで、2部屋が6月まで空室状態だったとします。
その後入居者が決まり、7月からは満室が続いた場合、上記空室率(B)の計算方法は以下のようになります。

空室率(B)=(1部屋×2ヵ月+2部屋×3ヵ月)÷(10部屋×12)×100≒6.6%

つまり、年間の稼働状況から考えた空室率(B)は約6.6%となります。

また、この場合の4月の段階での空室率(A)も参考までに見ておくと、以下のようになります。

空室率(A)=3部屋(4月の段階での空室数)÷10部屋(全室数)×100=30%

4月だけの瞬間的な空室率は30%となり、単純に数字だけを見ると空室率(B)と比べて約5倍もの差が出ることになります。
そもそも、この2つの空室率は意味合いが異なるため、単純に数字を比較することはできません。
しかし両者をきちんと理解していないと不動産会社が示す空室率がどちらのことを指しているのか混乱することにもなります。
しっかり知っておきましょう。

まとめ

「はじめに」でも少しお伝えしたように、調査の方法等の条件次第で値が変化するので空室率はその数字だけを追うのはリスキーです。
また空室率の統計を見ても、自主管理物件を含めた統計と委託管理のみの統計では、当然数値が異なってきます。
空室率が低ければ、うまく賃貸経営が回っていると考えられますので悪いことではありませんが、しっかり数字の示す意味まで理解しておくことをお勧めします。

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