共有名義にしている不動産の家賃収入 確定申告はどのようにする?
はじめに
土地や建物など一つの不動産物件を複数の人間で保有すること、つまり一つの不動産の名義人が複数いる状態のことを「共有名義」といいます。
たとえば、夫婦がお金を出し合ってマイホームを購入するとき、そのマイホームの名義人に両者の名前を連ねる場合などが共有名義にあたります。
このほか、共有名義の例としては、遺産としての不動産を複数の人間で相続した場合なども考えられます。
ところで、共有名義にしている不動産を第三者に貸し、家賃収入を得ている場合、確定申告はどのように行えばよいのでしょうか?
以下で見ていくことにしましょう。
持分
不動産を共有で保有するとなったとき、その登記にあたっては、共有名義人のうちどの人物がどれくらいの割合で当該の物件を保有するのかを決めなくてはなりません。
これを持分とか、持分割合などと呼びます。
持分の定め方は、相続による場合なら遺産分割協議で決めることになりますし、夫婦でお金を出し合ってマイホームを購入するケースなどでは、それぞれが出した金額によって持分の割合を決めるというのが一般的でしょう。
そして、共有している不動産を第三者に貸し、家賃収入を得たときも、この持分をもとに不動産所得を分配し、確定申告を行うことになります。
不動産所得の計算と分配
家賃収入の確定申告をするときには、まず不動産所得を計算して求めなければなりません。
計算の仕方は次の通りです。
まず、総収入の金額を求めます。
これは、家賃収入がメインになってくると思いますが、共益費や管理費、光熱費、更新料、礼金、敷金(借り主に返還しない場合)なども含まれます。
総収入が計算できたら、今度はそこからその収入を得るためにかかった経費を計算します。
経費には、固定資産税や火災保険などの損害保険料、修繕にかかった費用に加え減価償却費などが含まれます。
そして、総収入から経費を引いたものが不動産所得となるわけです。
不動産所得が求められれば、それを先ほど説明した持分に応じて分配します。
その金額が、各々の共有名義人の所得となりますので、あとは各自で個別に確定申告を行うことになります。
なお、不動産所得に関しては総合課税となっていますので、給与や事業などによる所得があるときには、その所得と合算して確定申告を行うことになります。
ただし、不動産を売却したときの儲けである譲渡所得については、他の所得とは合算せずに分離して税額を計算することになっています。
最後に
不動産を共有している場合、不動産所得を分配せず、共有名義人のうちどなたか一人の収入として確定申告を行うというケースも見受けられますが、そうなると税務署の調査などで指摘を受ける可能性も考えられます。
原則的にはそれぞれの名義人が個別に確定申告を行うべきであると考えておいたほうがよいでしょう。