義母の遺産は誰のもの?
【はじめに】
相続はよく理解しておかないと、思わぬところでトラブルになったりします。それが長年一緒に住んでいたともなると、心情的にも混乱することがあります。
たとえば配偶者に先立たれた、Aさんの父親が再婚したとします。その父親が亡くなったとき財産の半分を相続するのは再婚した配偶者=義母になります。では、その義母が亡くなったときの相続人は誰になるのでしょうか。
【同居より血縁が優先される】
そしてその義母が亡くなった場合、父親の財産の2分の1を相続した義母から子であるAさんが相続できるのではないかと思いがちですが(特に長年義母と同居していたりすると)、そうではありません。
たとえば義母がAさんの父親の死後、またほかの誰かと再婚したとしたら財産は義母の配偶者と子、配偶者がいなければ義母と義母の兄弟、などとなります。
つまり血縁関係のないAさんは義母の財産の相続人にはなりません。
【寄与分が認められる場合】
たとえば父親の死後もAさんが義母と同居し、義母の生活を支え介護したなどという場合は相続で「寄与分」がもらえる可能性があります。以下に寄与分の具体的なケースを挙げます。
・家事従事型…義母が行っていた事業に無償で手伝っていた
・金銭出資型…義母のためにAさんが金銭などで援助した(事業、家の購入など)
・扶養型…義母の生活の面倒をAさんが見ていた
・財産管理型…義母の金銭管理をAさんがしていた(土地の売却、賃貸管理など)
・療養看護型…義母をAさんが介護療養していた
しかし寄与分が、Aさんが思っていたほどもらえなかった、あるいは義母の相続人側に寄与分がAさんに本当にあるのか疑われたりしてトラブルに発展、話し合いが長期化することもあるようです。
【Aさんがその他に財産を受け継ぐには】
Aさんと義母が長年同居するなどしてつながりが深い場合は寄与分だけでは満足がいかないかもしれません。その場合、次の方法を取ることもできます。
・遺言書を残す
「Aさんに全財産を相続させる」という遺言書を生前義母に作成してもらうことも有効です。それでも遺留分が発生するので、その分は義母の相続人に渡ります。
・養子縁組をする
義母とAさんが養子縁組をすれば、義母の子としての取り分がもらえます。
・生前贈与をする
生前に義母がAさんに財産を贈与します。この場合、計画を立てて行わないと贈与税がかなりかかることもあるので注意が必要です。
【まとめ】
このケースでは血縁関係のある父親からの相続が終わった段階で、親が亡くなったことによる財産分与は終了していることになります。
もし父親が死別ではなく離婚後の再婚だとしたら、死後義母からの相続はありませんが血縁関係のある母親からはAさんは相続の権利があります。
相続においては家族という形ではなく、血縁関係に権利が発生するので注意しましょう。