相続税における建物の評価は時価だと損?ポイントご紹介

相続税の計算のための建物の評価額は時価だと思っている方もおられるのではないでしょうか。一般的に相続税のための建物の評価額は、時価よりも低めになっています。時価で相続税が計算されているなら、節税できるかも知れません。

 

戸建ての相続税評価額は?
戸建ての場合、毎年固定資産を支払っていますので、固定資産税の納付書に固定資産税評価額が書かれています。
この額が相続税の計算の基礎となる額となります。減価償却費の累計額を、戸建ての取得価額から控除した残額とは違うことがポイントです。減価償却の累計額を戸建ての取得価額から控除した残額は、所得税の減価償却費の計算要素となります。

 

戸建てを建設中の場合の相続税評価額は?
戸建てを建設中に相続があったとします。建設中の戸建ては新規物件としての完成品ではないので、本来の価格よりも低くなります。ここで建設中の戸建てについて、2種類の金額が出て来ます。

・戸建ての建設のために、相続日までにかかっている費用
→建設会社が相続日までに出費している材料費
→費用現価

・被相続人が相続の日までに建設会社に支払った材料費にかかわるお金
これらの2つは最終的には同じ額となりますが、この地点ではもしかしたら、被相続人はまだ全額支払っていないかも知れませんし、前払い金として費用現価の額よりも多く払っていたかも知れません。相続税では費用現価を採用することになっています。
つまり、相続日までに建設会社によって建てられた戸建て部分にかかわる費用ということになります。さらに費用現価の額の7割が相続税評価額となっています。被相続人が建設会社に実際に支払った額を、建設中の戸建ての相続税評価額にしている場合は、節税できる可能性があります。

 

建物の付属設備を相続した場合の評価の仕方は?
一般的に、戸建てやビルを相続した場合、中の給排水設備、ガス設備なども一緒に使うことになります。その場合、付属設備は単独で相続税評価をせずに、戸建ての中に入れて相続税評価額にすることになります。

 

賃貸住宅を被相続人が所有していた場合の相続税評価額は?
大家さんとなり賃貸住宅を保有していた被相続人が死去、相続した相続人にとっての賃貸住宅の相続税評価額は注意が必要です。固定資産税評価額で計算してしまうと損をするかも知れません。その理由は、賃貸している場合、借家権割合分だけは、借主の持ち分となるので、大家さんであった被相続人の財産とはならないからです。
固定資産税評価額のままでは、借家権分の額も被相続人の財産として含まれているので高くなっているというわけです。
また、空室があればその部分の借家権は大家さんの持ち分に戻ってくることになります。そのため、借主の持ち分であり大家さんの持ち分から控除できる借家権部分のうち、空室部分の額については大家さんの持ち分に戻す必要があります。
つまり、大家さんであった被相続人の持ち分は、空室部分を除いた賃貸している部分にかかわる借地権割合を控除した部分となります。式で表すとこうなります。
賃貸住宅の固定資産税評価額-(賃貸住宅の固定資産税評価額×借地権割合×賃貸割合)
→賃貸住宅の固定資産税評価額(1-借地権割合×賃貸割合)
この時、空室が多いほど大家さんである被相続人の持ち分は増えていくことになり固定資産税評価額に近づいていきます。賃貸住宅の借家権部分の相続税評価額が空室分だけ高くなりますので、賃貸住宅における相続では空室割合が少ないほうが節税にもなるというわけです。

 

相続時の建物の評価額次第で節税になる
建物の額と言えば、一般的に時価を考えがちです。しかし相続する場合は、相続税評価額を使うことができます。既に相続税の申告をしている場合で、建物の評価を時価で行っている場合で相続の日から10か月を経過していなければ、相続税評価額で計算しなおせば節税になるのではないでしょうか。
もし、すでに相続があり相続税を申告している場合でも、相続開始から10か月を経過していなければ延滞税などもかかることなく、修正できますので節税のためにも見直されてみるのもおすすめです。

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